英 文 和 訳 002

 X-rays reveal an arrowhead buried deep in the Iceman’s left shoulder—an injury that could not possibly have been self-inflicted. This discovery consequently led archaeologists to believe that the Iceman had been killed. The wound, visible as a small dark smudge beneath the mummy’s leathery skin, had been overlooked in all previous examinations. Though no arrow shaft protrudes from the wound and no blood marks the arrow’s entrance, it’s now clear that the Iceman was shot in the back. But who did it? And why?  (National Geographicより引用   001~002)

X-rays reveal an arrowhead buried deep in the Iceman’s left shoulder—an injury that could not possibly have been self-inflicted.
arrowhead   矢,  矢じり
injury   傷害,  けが,  侮辱
self-inflicted  (傷・被害などが)自ら招いた,   自ら加えた
✎ an arrowhead buried deep in the Iceman’s left shoulder 「アイスマンの左肩に深く埋もれている矢じり」   buried deep in the Iceman’s left shoulder が、an arrowhead を後置修飾している。
✎ X-rays reveal an arrowhead buried deep in the Iceman’s left shoulder 「X線写真が、アイスマンの左肩に深く埋もれている矢じりを明らかにしている ⇒ X線写真によって、矢じりがアイスマンの左肩に深く埋もれているということが明らかになっている」   
✎ could have p.p. は、「…したかもしれない,  …だっただろう」という過去に対する推量を表わすことがある。 can have p.p. は不可となる。 (I could have been wrong.  私は間違っていたのかもしれない。     I could have left my cell phone on the train.  電車に携帯を置き忘れたかもしれない。)   そして、could not have p.p. は、「…したということはあり得ない,  …したはずがない」という過去に対する否定的な推量を表わすことがある。 cannot have p.p. の場合も同様の意となるが、 can の場合のほうが could よりも確信度が高いニュアンスとされる。  (They could not have known that.  彼らがそれを知っていたなんてあり得ない。     She couldn't have done such a thing.  彼女がそんなことをしたはずはない。)
✎ an injury that could not possibly have been self-inflicted. 「自ら加えたということは決してあり得ない傷害」    possibly は強意を表わす。
✎ —an injury that could not possibly have been self-inflicted 「これは、自ら加えたということは決してあり得ない傷害である」   ダッシュの後で、前述した内容に補足情報を加えている。 (I got what I wanted for a long timeーa peaceful home. 長い間、望んでいたものを手に入れた。それは、心の安らぐ家庭である。)
X線写真によって、矢じりがアイスマンの左肩に深く埋もれているということが明らかになっている。これは、自ら加えたということは決してあり得ない傷害である。

This discovery consequently led archaeologists to believe that the Iceman had been killed.
consequently   その結果として,   したがって
archaeologist   考古学者
✎  lead A to do は、「A を…するように導く,  A を…する気にさせる」の意。  (His job failures led him to drink a lot every day.  仕事の失敗のせいで、彼は毎日たくさん酒を飲むようになった。     What led you to act that way?  何があなたをそのように行動させたのか。)
☞  その結果、この発見によって、考古学者は、アイスマンは殺されたのだと信じるようになった。

The wound, visible as a small dark smudge beneath the mummy’s leathery skin, had been overlooked in all previous examinations.
wound   外傷,  損傷, (心の)傷,恥辱,侮辱
visible   目に見える, 可視の
smudge   よごれ,   しみ
beneath   …の下に,   …のもとに
leathery  革のような,   革のように堅い,   ごわごわの
overlook  見落とす,   見過ごす,   見渡す
ここは、The wound, which is visible as a small dark smudge … と捉えられる。
☞ その傷は、ミイラの革のように堅い皮膚の下に小さな黒い汚れとして見えるのだが、これまでに行われたすべての検査で見落とされていた。

Though no arrow shaft protrudes from the wound and no blood marks the arrow’s entrance, it’s now clear that the Iceman was shot in the back.
protrude   突き出る,   飛び出る,   はみ出る,   …を突き出す,   飛び出す
mark  …に(印を)つける, (傷跡・汚れなどを)つける,   …を示す,   …を特徴づける, 点数をつける, 印, 記号, (傷や汚れなどの)跡, しみ,  兆候, 特徴
entrance   入り口, 玄関, 戸口,  参入, 着手,  入学, 入社, 入会,  うっとりさせる, 魅惑する
shot    shoot の過去形・過去分詞形  (銃・大砲などを)撃つ,  (矢を)射る, (写真などを)撮る, (映画などを)撮影する,  放つ,   突進する
✎ no arrow shaft protrudes from the wound 「矢のシャフトは傷口から突き出ていない」  この場合の no は文全体を否定する。「少しの…もない, ひとつ[一人]の…もない, どんな…もない」の意。  (He has no money.  彼はお金を全く持っていない。    He has no time.  彼には時間がない。     He has no car.  彼は車を持っていない。      He has no friends.  彼には友人が一人もいない。――「友人」のように、複数のものとして想定される場合は、通例、複数形を用いる。     No one believes the story..  その話を信じる者は誰もいない。)  ただし、次のような場合は、文全体を否定するものではなく、名詞のみを否定する。   No answer is also an answer.  返事をしないのも一つの返事である。     He will be here in no time.  彼はすぐに来るだろう。
no blood marks the arrow’s entrance 「少しの血痕も矢の侵入口を示さない ⇒ 矢の侵入口に血の痕跡はない」
✎ the Iceman was shot in the back は、「アイスマンは背中に矢を打たれた」の意。 この構文では、in the back のように、ある動作が体のある部位に及ぶ場合、〈前置詞 the 体の部位〉という形で表わされる。例えば、She caught me by the arm. であれば、まず、She caught me で、「彼女は私をつかんだ」ということを述べ、その後に、私の身体のどの部位をつかんだのかという情報を、前置詞で始まる句の by the arm によって表わしているのである。したがって、「彼女は私の腕をつかんだ。」となる。ここで用いられる前置詞は、on / in / by などで、動詞や身体の部位によって決定される。また、身体の部位を表わす名詞の前に置かれるのは、人称代名詞の所有格ではなく、定冠詞 the となるのが通例である。  (He held me by the collar.  彼は私の襟を掴んだ。       She tapped her husband on the shoulder.   彼女は夫の肩を軽くたたいた。  The bat hit him on the nose.  バットが彼の鼻に当たった。   The ball hit him in the eye.  ボールが彼の目に当たった。     He was struck in the face.  彼は顔を殴られた。)
☞ 矢のシャフトは傷口から突き出ておらず、また、矢の侵入口に血痕もないが、アイスマンは背中に矢を打たれたということは、今では明らかだ。

But who did it? And why?
この but は、逆説を表わすというよりも、話題を換える用法と思われる。 
✎ did は、shot の代動詞。
☞ それでは、誰が矢を打ったのか? なぜ打ったのか?

 

X線写真によって、矢じりがアイスマンの左肩に深く埋もれているということが明らかになっている。これは、自ら加えたということは決してあり得ない傷害である。その結果、この発見によって、考古学者は、アイスマンは殺されたのだと信じるようになった。その傷は、ミイラの革のように堅い皮膚の下に小さな黒い汚れとして見えるのだが、これまでに行われたすべての検査で見落とされていた。矢のシャフトは傷口から突き出ておらず、また、矢の侵入口に血痕もないが、アイスマンは背中に矢を打たれたということは、今では明らかだ。それでは、誰が矢を打ったのか。なぜ打ったのか。